イタリアのお葬式事情を教えていただきました

この数年で両親の葬儀を経験しました。そのとき心に浮かんだのは「読経は本当に必要?」「お通夜をするべき?」「戒名は必要なの?」といった素朴な疑問でした。
家族の意見もあり従来の形式で行いましたが、次の世代では別のあり方を考えてよいのではないかと感じています。

ただ、日本のやり方しか知らない私には、比較の視点がありません。

そこで、ご縁があってイタリア在住の冨田さんにお話を伺いました。

冨田さんはイタリアの北部でペット火葬用の骨壷やメモリアル用品を企画・販売する B-CP社で、動物の形の骨壷などをイタリアの陶磁器職人と協力して制作しています。
陶磁器

現地での生活は20年を超えるそうです。イタリアならではのお話をおききしました。

イタリアの葬儀事情 Q&A

Q. 葬儀会社や葬儀場はありますか?
A. はい。イタリアにも葬儀会社はあります。
イタリア葬儀組合に登録している私立の葬儀会社は約4,000社ほど。さらに公営の会社もあります。
ただし葬祭場は少なくて、教会で式を行うことが多いです。

Q. お通夜はありますか?
A. 有名人の場合は棺を安置し、数日間一般の人が訪問できるようにすることもありますが、一般の方の葬儀の場合は、日本のようなお通夜はしていません。

Q. 葬儀の流れは?
A. 病院で亡くなると、遺族が葬儀会社に連絡し、遺体を霊安室へ運んでもらいます。衣服を整えたりエンバーミングをしたうえで棺に納めます。その後、教会などと日程を調整し、葬儀を行います。

葬儀後は、火葬または土葬を行います。
土葬は棺をそのまま墓地へ納めます。火葬の場合は数日待つこともあります。遺族が希望すれば火葬に立ち会うこともできますが、多くは遺灰を納めた骨壺を後日受け取ります。

本来は火葬を嫌う宗教ですが、私が住む北部の地域では、墓地の問題もあり、火葬を行う人々が多くなりました。
葬儀は教会で行うのが主流ですが、宗教色なく行いたい人は、市の公民館や自宅の庭で行う場合もあるなどバラエティーに富んでいます。

Q. 日本でいう「仏壇」のようなものはありますか?
A. 「仏壇」のような習慣はありませんね。
ただ、各家庭には、亡くなった方々の写真を飾る習慣があります。

Q. 葬儀の服装は?
A. 実はイタリアでは、日本のような礼服は存在しないのです。
葬儀に参列するとき、黒や紺を着ることもありますが、普段着で参列する人が多いです。

Q. 戒名はありますか?
A. ありません。
イタリアでは結婚しても名字は変わらず、子どもは父親の名字を名乗ることが多い国です。墓石には本人の名前と生没年が刻まれます。

Q. 四十九日のような法要はありますか?
A. いわゆる四十九日法要はありませんが、亡くなった日以降、月1回または年1回などの頻度で「メモリアルミサ」を行う方もいらっしゃいます。
毎年11月1日にはお墓参りをする、日本でいう春分・秋分の日のような祝日があるんですよ。

日本とイタリア、それぞれの祈り方から思うこと

イタリアのお葬式事情を伺って、まず驚いたのは「日本で当たり前と思っていたこと」が他国ではそうではないという事実です。

たとえば、葬儀参列時の服装が自由であるという点には驚きました。

「メモリアルミサ」というかたちで、ゆっくりと故人を思い出す時間があることに共感しました。
日本でも、かたちにこだわらず、故人のことをゆっくり語り合う“思い出の時間”を持てたら素敵だなと思います。

これからの時代に向けて、自分や家族にとって最も自然な祈り方を考えていきたいと思います。冨田さん、貴重なお話をありがとうございました。

雲